はじめに

先祖探しの場合、書類に記載されている情報と実際に遠戚やお寺の住職に会って交渉して情報を積極的に得る方法があります。

 

しかし、なかなか遠戚に手紙を書くことや、お寺に話をするということはハードルが高いです。

 

ここでは、そこまでハードルが高くない方法を記載します。

 

 

①戸籍入手(基本中の基本)

これは基本中の基本になります、先祖探しといえば戸籍から始めるのがセオリーです。

 

その前に両親や祖父母から家の伝承を聞くという方法もありますが、こちらに全くの情報がなければ、質問することも出来ません。

 

逆に戸籍で一番古いもの(明治19年戸籍か明治31年戸籍)まで入手しておいて、一旦家系図を作成、それをもとに両親や祖父母に話を聞くと深いところもまでエピソードが分かることも多いです。

 

祖父に「おじいちゃんのおじいちゃんってどんな方だった」と聞くよりも「おじいちゃんのおじいちゃんって徳兵衛で昭和34年に87歳で亡くなっているけど、どんな方だった」「徳兵衛じいさんは兄弟が9人いたんだけどね」というふうに聞くと。

 

●徳兵衛じいさんはとても温和だった、お酒が大好きだった、身長が180㎝以上あり大男だった。

 

●そういえば、じいさんには歳の離れた弟がいて親戚の▲▲村に養子に行ったと聞いたことがある。

 

など具体的な話も聞くことができます。

 

戸籍・除籍謄本入手

 

②旧土地台帳(法務局に行く)

戸籍だけでも一番古いものまで入手すれば立派な家系図が作成できることは間違いありません。

 

しかし、それでは先祖の生没年といつ頃結婚したか、いつ頃子どもが生まれたかという情報のみになります。

 

ガントチャートを使用すれば詳しく確認することもできます。

 

【新発見】ガントチャートで先祖を詳しく把握する

 

更に先祖の情報を得る時には「旧土地台帳」が役立ちます。

 

旧土地台帳の調査

 

旧土地台帳は画像のようなものが法務局にあります。

具体的に分かることとして。

 

●明治時代の先祖の土地がどの位あったのか?

 

●所有者の変遷。

 

●地目が宅地の場所が明治31年当時の戸籍の番地で間違いないか。

 

●地租としてどの位支払っていたか。

 

特に土地の面積は明治の初め頃なので1世代前の江戸時代でも同じ位は持っていたと思われます。

 

旧土地台帳【土地所有表】

先祖の土地を全て網羅したら一表にすることにより、詳細名情報を得ることが可能になります。

 

具体的には

①村全体の旧土地台帳を確認してデータベース化する。

 

②その中で自分の先祖がどの位の面積を所有していたかが判明。

 

③村内での位置関係なども分かります。

 

得られた情報から当時の村の状態を知ることも可能です。

 

ある先祖が合計で八反の田んぼを持っていたとします。

 

自然栽培米の平均収量と江戸・明治時代の平均収量を比較

ここのサイトでは明治時代で一反330キロとなっています。

 

つまり八反では2640キロとなります。

米俵換算では44俵です。

 

成人が1年間に消費する米が1石だと云われています。

米2.5俵が1石。

 

例えば6人一家の場合は15俵あれば1年間は賄うことが可能。

 

明治時代は地価の3%に課税をしており、旧土地台帳の課税のところを全部合計すればどの程度税金を納めていたが分かります。

 

「地租圓」というところが税金にあたる。

 

そうなれば、収穫した米を売却して現金にし、それで税金を納めていたことになります。

 

そのようなアプローチをすることにより、先祖の家の状況も詳しく判明してきます。

 

先祖探しは先祖の名前を調べるだけでなく、その先祖の生きた時代、家、など網羅的に調べていくことが重要になってきます。

 

このように、戸籍だけでは分からない情報を旧土地台帳から得ることで、深掘りすることが可能です。

 

ただし、一部法務局では閲覧が難しい場合もあるようですので、事前の確認が必要になってきます。

 

③兵籍簿(陸軍→県庁か海軍→厚労省)

これは、先祖(おそらく祖父か曽祖父)が戦争に行っている場合のみ可能になります。

 

①と②は家としての調査になりますが、③の兵籍簿に関しては思いっきり個人の事にフォーカスしたものになります。

 

ただし、内容は詳しいため、祖父(曽祖父)の戦争がどのようなものだったかが詳細に判明します。

 

軍歴証明書からの調査

 

兵籍簿(軍歴証明書)ですが。

 

陸軍であれば各都道府県の県庁内にある課です。

各県の該当の課

 

海軍であれば厚生労働省です。

〒100-8916 東京都千代田区霞が関1-2-2

厚生労働省社会・援護局業務課 調査資料室 海軍担当

電話 代表 03-5253-1111 内線 3484

 

基本的には請求出来るのは3親等までです、つまり父 祖父 曾祖父 叔父 です。

一部の地域では6親等まで可能な自治体もあります。

 

 

基本は3親等になりますので

●祖父(2親等)

●曽祖父(3親等)

●叔父(3親等)

ここまでが入手できます。

陸軍の場合は一部6親等まで可能な県もあるが、各自治体にあらかじめ確認は必要。

 

このようなものが交付される。

 

申請する場合は本人の生年月日や本籍地を聞かれる場合があるので、本人の記載されている戸籍を手元において職員と話をした方がいいです。

 

部隊名の記載もあるので、詳細に確認していけば、どのようなところで戦闘したかも判明します。

 

自分達にとっては祖父や曽祖父でも数代先の子孫になればかなり遠い先祖の記録になるので、自分が資料を入手して詳細に調べることをすることで、その資料価値を高めることも可能になります。

 

④村方文書(村の共有文書、地元に確認)

村方文書とは具体的には江戸時代以前の古文書を指すことが一般的にです。

 

土地に関わることが多い感じですが、江戸時代以前のものなので、草書で読めない場合もありますが、読めれば生きた情報を得ることが可能になります。

 

どこに保管してあるかはその地域によって様々です、まずは教育委員会や公民館などに確認してみる、

 

最近ではSNSで情報発信していることも多いのでそのような組織があるか調べてみることが重要になります。

 

古文書の場合は読めなくても、仮に存在していれば全てを画像におさめておき、自宅でゆっくり確認、または解読できる方に読んでもらうことも視野にいれながら実施。

 

⑤市町村史(図書館に行くか古本を購入)

先祖の名前が市町村史に出てくる場合があります。

 

この場合は市史よりも町史、町史よりも村史と狭い範囲のものがベターです。

 

昭和30年代頃に刊行されたものには村史もありますので、自分の先祖がいた村のものがないか確認しましょう。

 

なければ、町史から探してみる。

 

市町村史の場合は、大まかなその地域の歴史を確認する意味合いが大きいですが、稀に自分の先祖の名前が記載されている場合もありますので、しっかりと確認することは必要になってきます。

 

市町村史に先祖の記載がないか確認してみる

こんな感じで自分の先祖が記載されていることもある。

 

特に江戸時代の古文書が翻刻されていれば、調査もはかどります。

 

最近では国立国会図書館デジタルアーカイブで遠方にいても市町村史が確認できる場合もありますので、申請をすることをお勧めします。

 

【先祖探し】国立国会図書館デジタルコレクション【情報収集】

 

上記の①~⑤の大半は自宅でも調べることが可能です。

 

例えば

●仕事などで遠方に行くことが難しい。

 

●人と話すことが苦手で遠戚やお寺に聞くことは避けたい。

 

●両親が興味なく何にも知らない。

 

などでもある程度のことができます。

 

また、資料だけでも入手しておけば、後日じっくり取り組めたり、協力者が現れて一気に進展するということもあります。

 

細かい内容の精査は置いといてまずは入手してみる。 見ると世界が広がる。

 

まとめ

①戸籍を入手するだけで先祖の名前や生没年は判明する。

 

②旧土地台帳からは先祖の土地情報が入手できる。

 

③兵籍簿(軍歴証明書)があれば、祖父や曽祖父の実際に戦争に行った記録が分かる。

 

④村方文書は存在しているかの確認とあればどこにあるかを確認する。

 

⑤市町村史の中には実際に自分の先祖が記載されている場合もある。

 

 

公開日2022/05/29

 

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