はじめに
ガントチャートをご存じでしょうか?
ウッキペディアでは以下の説明がなされています。
ガントチャート(英: Gantt chart)とは、プロジェクト管理や生産管理などで工程管理に用いられる表の一種で、作業計画を視覚的に表現するために用いられる。
棒グラフの一種でもあり、横棒によって作業の進捗状況を表す。
棒グラフで一元管理するために作成されたもののようです。
これを先祖探しに使用することで色んな発見があります。
ガントチャート作成中
先祖を年表に記入することで見えることも多い。
高祖父の子どもは長女と三男が同じ年に亡くなっている。横に年号があるので、何歳の時の子どもだったとか、一番末子が何歳の時に親が亡くなったかが一目瞭然で分かる。 pic.twitter.com/QiADazvrNn
— 先祖探し 悠久の時を越えて (@gosenzo2) October 21, 2021
作成は簡単です。
縦軸に年号を入れて、横軸に先祖の名前を入れます。
年号は個人のお好みで入力すればいいと思いますが、今回は戸籍で記載される限界の1800年から現在までを入れてみます。
これで準備はOKです。
次に戸籍から先祖の「生から死まで」を入力していきます。
ここで注意したいのは「戸主」と「その妻」「及び子ども」だけでガントチャートを入力します。
古い戸籍では孫や甥、姪なども1つの戸籍に記載されていますが、ここはあえて最小単位である「父」「母」「子ども」だけで分けていきます。
また、エクセル上部に各名前を入れ「ウインド枠の固定」をしておけば、見やすくなります。
これは例ですが。
●夫25歳、妻24歳の時に一番最初の子どもが生まれる。
●一番最後の子どもは夫39歳、妻38歳の子どもで、長女が17歳の時に生まれたことが分かる。
●長女と長男は2歳差であるが、次男は7年後に生まれている。
●更に三男は次男が生まれてから5年後に生まれている。
当時子どもは数年毎に生まれるのが一般的な時に結構な年月が離れていることが判明。
次に夫(父)が亡くなった時を確認します。
この表から47歳で亡くなり、その時妻は46歳、長女は25歳、長男は22歳、次男は14歳、三男は8歳ということが分かります。
因みに、戸籍で長女はすでに嫁にいっていることが判明。
逆に三男は8歳で父親が亡くなっていることが分かります。
三男は父親のことをほとんど記憶していないのではと思います。
しかし、長女は25歳まで生存していたので、この長女と繋がりのある方がまだ生きていたら少しでも詳細が判明する可能性が出てきます。
例えば、自分の祖父母がこの方と面識があり話を聞いている場合は、何かしらの話が伝わっている可能性も否定できません。
最後にこの家の家族の死を確認してみましょう。
この表から長女がとても長生きしたことが分かります。
長男、次男も平均寿命は生きていたことが判明。
そして三男は72歳と平均的であるが、実は長生きした長女と同じ年に亡くなっていることは判明。
戸籍には当然このことは記載されていますが、改めて表にしてみると、一目瞭然で分かるのがこのガントチャートの良いところです。
次にやること
さてこのような表が作成できたら、後は世代毎に作成します。
最初は「戸主の子ども」として記載、次の欄には「当主」として記載。
太郎の次男である三郎をスライドさせて、「三郎家族」の夫として挿入。
あえてこうすることで、1世代1世代を分けて記入して分かりやすくします。
これを毎世代記入して現代の世代まで作成します。
戸籍で判明するのはおおむね4~5世代になりますが、この表を作成することで、大きな発見が出てくるのではないでしょうか。
世代間で確認するには
例えば高祖父の家族と曽祖父の家族を確認するにはこれも「ウィンド枠の固定」を利用します。
その前に、上の不要な部分を非常時にします。
このように不要な部分は非表示にします。
その他不要な人物は非表示にすることで分かりやすくなります。
この図を例にしてみましょう。
高祖母であるスマは56歳の時に初孫が生まれ、74歳で一番最後の孫が生まれたことが分かります。
このことからは初孫である「マキ」の子孫がいれば「マキ」を通じて高祖母の伝承が伝わっている可能性もあります。
悲しい事実
戦前や戦後すぐは子どもの死亡率は高く、幼少の頃に亡くなっていることもあります。
また、子どもを産んで母親が亡くなるということも珍しいことではありません。
この表から分かること。
●先妻である廣子は28歳で亡くなる、長男忠も同じ年に亡くなっていることから、産後の肥立ちが悪く亡くなっていると思われる。
●忠自身も1歳で亡くなっているので生きるのが難しい子どもだったと思われる。
●後妻である「ユキ」が子どもを立て続けに生んでいる、しかし昭和24年から27年の3年の間に、子どもの死と別の子どもが生まれているのが分かる。
●確認すると、子どもが妊娠してる間に別の子どもが亡くなっていることが判明。
人の「生から死」というものを俯瞰的に見る時にその先祖の人生が別の視点で見えてくることもありそうです。
完全なものを作成するのは難しい
このガントチャートで完全なものを作成することは難しいです。
なぜなら、戸籍情報を基本としているので、戸籍を除籍されたものはその後の人生を追えないからです。
具体的には。
●女性の場合は嫁にいき除籍された場合はその後いつ亡くなったか不明。
●男性の場合は養子にいき、養子先に入籍された場合もいつ亡くなったか不明。
その家に伺い、いつ亡くなったのかを確認すれば判明できますので、完全なものを作成しようとすればそこまでする必要があります。
※赤枠のように、嫁にいったものは死亡記載があるので不明になってしまう。
※便宜上記載はするが、あえて色塗りしないことで不明にしている。
家毎に作成することで分かることもある
エクセルで作成しますので、シートはいくつも作成が可能です。
このようにシートはいくらでも作成可能。
別の使用方法
このガントチャートは使用方法が多岐にわたります。
●軍歴証明書から何年にどこにいたかを記載。
●家族毎でなく、戸籍に記載されている全員を全て入力することで、戸主を起点にしてその戸主の人生を全て網羅。
●戸籍の範囲を超えて自分の家の分かる範囲全てを入力(1600年代の先祖がいればそこから作成も可能)
●直系尊属だけを集めてガントチャートを作成することで、先祖がどの時代に多く被っているかが分かる。
ガントチャートの意義
先祖探しは古い先祖を遡ることに始まり、最終的にはその1人1人の先祖にスポットライトを浴びせることで、より迫っていき個別に肉付けをしていくことが重要になってきます。
古い先祖の場合は、多くの情報がないので作成するのが難しい場合もありますが、分かる範囲で記入して工夫することも可能です。
一人の人生です、戸籍、過去帳、お墓、位牌などの情報では、いつ生まれた、いつ亡くなったしか分かりませんが、その人生を表にすることで点を線にします。
戸主ごとに作成、または家毎ごとに作成することで、線は面になり見えなかった事実が判明することもあるかもしれません。
新しい発見があれば、先祖探しも楽しくなりますし、もっと深く先祖のことを知りたいと思うようになります。
これこそ先祖探しの醍醐味だといっても過言ではありません。
是非、ガントチャートを作成してみましょう!!!
見本を添付しておきます
まとめ
●ガントチャートを作成することで1人1人の先祖の人生がより詳しく判明する。
●ある年で区切った時には、家族の年齢が分かり当時の様子が想像できる。
●使い方は様々、軍歴証明書で使用、直系尊属のみで作成など自分なりにアレンジできる
公開日2021/10/23