城データ
城名:藤掛尾城
別名:藤懸城
標高:28m(現在の最高所)当時は38m
比高:25m 当時は35m
築城年:戦国時代か
城主:小方加賀守
場所:広島県廿日市市新宮1丁目、串戸2丁目
北緯:東経:34.349123/132.329157
攻城記
道端にある石柱。
山が崩されて団地になっている。
段差が僅かに分かる。
少しばかり山が残っている。
道を造るため削られている。
登り口があったので登ってみる。
削平地があるが畑の跡か。
先に進む。
削平地。
先端から見る風景、当時は海であった。
この部分は城跡かどうか不明。
道路の部分は昭和40年ころまでは山(城域)であった。
篠尾城が見える。
新宮神社
文安3年(1446)に小方加賀守上野之助により創祀した。
公園名に藤掛が残る。
宮内側にも神社がある。
位置関係
戦後すぐの写真
余湖図【在りし日の藤懸尾城】
当時のイメージ図(余湖図コレクションより引用)
『芸藩通志』【藤掛尾城】
城の概要
都市計画道路と宅地造成により全壊している。
「廿日市町史」によると,尾根の先端部を切り通し状の堀切によって独立させ,3つの郭と櫓台状の2つの郭からなっていたようである。
この城は,「房顕覚書」によると,1509(永正6)年頃の厳島神主家の後継者争いの時,神領衆の新里氏等が篭ったといわれている。
『芸藩通志』では,神主職を友田興藤と争った小方加賀守の居城と伝えている。
『広島県中世城館遺跡総合調査報告書』より引用
一藤掛尾城
藤掛尾城は、新宮神社南方上の藤掛山にあった が、都市計画道路と藤掛団地で、跡形もなく破壊さ れている。
折敷畑山から連らなる長尾の峯の最先端を、堀切 で独立させており、堀切の上が本丸の平壇で、南に二段の平壇があり、東に二之丸、三之丸に相当する平壇があった。
当時は海に突出た岬のような地形で、絶壁を持っ た要害の地であった。
七尾城(芸藩通志にいう)の一つである藤掛尾城が、文書に見えるのは房顕覚書で、永正九年(一五一二)頃を初めとし度々出てくる。
「藤懸、藤懸城、藤懸ノ城、藤懸御城、藤懸陣、藤掛山 、文政二年(一八一九)の国郡志御用に付郡辻書出帳に藤掛尾城とあり、江戸時代 が付いたものと思われる。
七尾城は、小方加賀守の居城(一書に藤掛伊予とあり)である。
永正五年(一五〇八)十二月八日京都に於て厳島神主藤原興親が病死し、国元において神領衆は東西に分かれ、神領の支配権を争い 東方友田興藤支持派は、五日市城(光明寺城)の宍戸治部少輔を始めとし桜尾城に立籠り、西方小方加賀守支持派は、新里若狭守を始めとし藤懸城に立籠り、大永三年(一五二三)迄争った。
大内義興は京都から国元に帰り、神主の跡継ぎを定めず、神領を直接支配したが、興藤は武田光和、 そのほか国衆の援助を得て、桜尾城に入り厳島神主を称した。
大内義興は、興藤を伐つため安芸に押寄せ、大永四年(一五二四)二月、大内方の弥富依重は藤懸城に入った。
七月大内勢は桜尾城を囲み、興藤は降伏し大内氏に帰順していたが、興藤は天文一〇年 (一五四一)大内氏に叛いた。
大内勢は、桜尾城の興藤を攻撃するため来攻し、藤懸城(大内義隆感状、内藤家系譜による。房顕覚書には七尾とある)に陣し、桜尾城を偵察していた。
三月九日、桜尾方の桑原与四郎等が攻撃をかけ、 一九日にも攻撃をして、大内方の伊佐隆光、内藤正朝等一〇人ばかり討死した。
桜尾城は落城し、五月二四日大内義隆は 藤懸、七尾より(房頭覚書)銀山城に陣替えした。
天文二〇年(一五五一)八月二〇日、陶隆房(晴賢)の大内義隆謀叛に伴い、大内氏の家臣鷲頭治部少輔が居る桜尾城を明渡 すよう、厳島から惣公文の新里等使者が、 藤懸城を経て桜尾城に向い、城番として駐留していた鷲頭治部少輔は山口に下向し以降藤懸城は文書に見えず、芸防引分後は桜尾城の出城となり、弘治元年(一五五 五)厳島合戦後は廃城となったものと思われる。
『桜尾城とその時代』より引用。
城の歴史
東西両党の対立,國本=テハ東西ト引キ分レ、東方八五日市/戸治部少輔ヲ 始トシ、櫻尾ニ立籠ル、西方八新里若狭守ヲ始トシ、藤懸ノ城=楯籠リ、数 ケ年取リ合フナリ、とある
『棚守房顕覚書付解説』より
所感
●城の遺構はすでに無いが、新宮神社の裏山に僅かばかりここが山だったことが伺われる。
●城主は小方加賀守であるが、西軍として東軍の友田興藤と神主家を愁訴していたが結局最後がどうなったか不明。
●小方氏は江田島にもおり宮島から移り住んだ一族だと思われる。
江田島にも小方氏がいる。
関連URL
参考URL
参考文献
『桜尾城とその時代』
『棚守房顕覚書付解説』
『日本城郭大系』13
『広島県中世城館遺跡総合調査報告書』
『広島県の地名』
『広島県地名大辞典』
『広島の中世城館を歩く』
『萩藩諸家系譜』
『毛利八箇国御時代分限帳』
『萩藩閥閲録』
公開日2024/03/02