はじめに
軍歴証明書って知ってますか?
父、祖父、曾祖父が戦争に行っている場合は「軍歴証明書」というものがあります。
記載内容としては、
●氏名
●官職
●叙位叙勲
●招集時期
●出航した港
●配属
●任官
●進級
●従軍記録
●賞罰
●傷病と治癒
●招集解除時期
●戦死や戦病死の記載
陸軍であれば各都道府県の県庁内にある課です。
海軍であれば厚生労働省です。
〒100-8916 東京都千代田区霞が関1-2-2
厚生労働省社会・援護局業務課 調査資料室 海軍担当
電話 代表 03-5253-1111 内線 3484
基本的には請求出来るのは3親等までです、つまり父 祖父 曾祖父 叔父 です。
一部の地域では6親等まで可能な自治体もあります。
※2020年現在
事前に電話連絡をしておくことをお勧めします、係の方は 氏名 生年月日 本籍地などを確認されますので準備をしておきましょう。
ここでの注意点として、大叔父は請求出来る自治体と出来ない自治体があるということです。
※自分では申請出来ないということです。(4親等になるので)
年のため、取得可能かどうかも確認しましょう。
不可能な場合は自分の親か叔父、叔母にお願いするか、委任状を持って代理人として行きます。
行く場合は自分と自分の親(自分の叔父)の関係が分る戸籍、また取得をする方との関係が分る戸籍が必要です。
あとは自分の身分証明書と印鑑です。
発行金額は1000円以下です。
実際に取得出来れば画像の様な軍歴証明書が発行されます。
入手出来たら、取得者の細かい情報が記載されていますので、「人生時系列」に記載していくことも可能になります。
部隊名も記載されていますが、どのような行動を取っていたのかは、靖国神社に問い合わせると分る場合もあります。
自分の祖父や曾祖父がどのような戦争を体験したのか、中には戦死した方もいるでしょう。
よく父(祖父)(曾祖父)は戦死したので詳しいことが分らないとうケースがありますが、この軍歴証明書があれば、どのように戦争に行き、またどのように亡くなったが分ります。
残せば貴重な資料になる
これらを、詳細に記録していけば、後世貴重な資料になります。
いつ戦争に行ったのか?
戦争中はどの部隊に所属していたのか?
所属部隊はどこで任務を遂行したのか?
所属部隊の戦争時の行動はどのようなものか?
所属部隊の主な戦いについて。
国内での任務の場合は、どこで任務をしていたのか?
どのような任務であったか?
現在その場所はどのようになっているのか?
など、調べることは沢山ありますのでそれだけでも1つの資料になる位です。
母方祖父の例
名前:山田太郎(仮名)
生年月日:明治38年11月1日
本籍地:●●県●●郡●●村●●番地
召集(初任官)年:大正14年(20歳の時)
役種:二口
兵種:高射兵
出身別:国民兵
官等:一等兵
昭和19年7月1日に二等兵 昭和20年1月1日に一等兵
特有の技能:通手(通信手)
部隊編入区分:電信隊臨時招集
最近(昭和20年3月1日現在)の編入区分:西部八0七九部隊
所属部隊を承知せる根拠:二十年二月一日附通信
来歴
昭和19年
七月一日:臨時招集に拠り高射砲第百三十五連隊に応召
同日:通信隊に編入
七月八日:七八対空戦参加
七月二十九日:七二九対空戦参加
自八月十日至八月十一日:八一〇対空戦参加
自八月三十日至八月三十一日:八三〇対空戦参加
十一月十一日昭和十九年軍令陸甲第百三十七号 昭和十九年度第二次安地高射砲諸部隊臨時編成ニ拠り独立照空第二十一大隊第ニ中隊ニ編入
十一月十四日編成完結
昭和20年
三月二十七日:三二七対空戦参加
五月二十七日:五二七対空戦参加
自六月十七日至六月二十日:六二〇対空戦参加 (福岡大空襲)
八月三十一日召集解除。
となります、親や叔父に聞いても、戦争末期に行ってすぐに戻ってきたらしいので、そこまでたいしたこと無いのでは?ということでした。
しかし、詳しく調べて見ると、国内であっても、対空戦に通手として参加しています。
空襲時に対空戦に参加しています。
母方大叔父の例
大叔父の場合は中国で戦死しています。
昭和12年6月14日:臨時招集の為、野砲兵第五聯隊補充隊に応召。
昭和14年8月1日:野砲兵第三十九聯隊第七中隊に転属。
昭和14年8月10日:編成完結
昭和14年10月10日:宇品港出発
昭和14年10月19日:漢口上陸
昭和14年10月23日:漢口出発
昭和14年10月25日:劉福到着
昭和14年10月29日~11月30日 贛湘会戦後の警備
昭和14年12月1日~昭和15年2月11日 14年冬季作戦参加
昭和15年2月12日~4月12日 冬季作戦後の警備
昭和15年4月13日~7月10日 冝昌作戦参加
冝昌作戦詳細
(イ)4月13日~5月10日 滾山付近の戦闘より棗陽北方に向かう追撃戦
(ロ)5月11日~5月16日 西部大洪山系の掃討戦。
(ハ)5月17日~5月30日 唐河 白河 の渡河戦より王家隼付近の戦闘
(ニ)5月31日~6月7日 漢水渡河作戦より荊門付近の戦闘
(ホ)6月8日~7月10日 富陽付近の戦闘及び冝昌に向かう追撃
昭和15年7月11日より11月9日 李家祠に在り冝昌作戦後の警備
昭和15年11月10日 左側背部 左足関節部 左上肘 追撃砲破片創に依り戦死
そして、この大叔父が亡くなったことで、叔父がその家の養子になって家を継ぐことになります。
大叔父が生きていれば別の家になっていたでしょう。
叔父も養子に行っていないので別の人生を歩んだと思います。
この家には散文がありました、亡くなった大叔父に対して戦友からのものです。
この軍歴証明書を取得する前は1枚の散文でした。
しかし軍歴証明書から詳細な調査をして新しい事実も発見することにより、改めて散文を読む時に目頭が熱くなりました。
先祖探しの目的にとして、先祖を遡るということもありますが、重要な記録を子孫に残すという目的もあります。
いつ生まれて、いつ亡くなったか、を調べるのであれば戸籍謄本でも構いませんが、その方がどのような人生を歩んだのかを確認する為には、軍歴証明書を入手する必要がありますし、そこには重要な資料が記載されています。
詳しい本もありますので購入してみてもいいかもしれません。
【まとめ】
●戦争にいっている場合は軍歴証明書が入手出来る場合がある。
●請求できるのは原則3親等まで(祖父まで)
●一部の自治体では6親等まで可能(要確認)
●証明書ということでかなり詳しい内容が記載されている。
●その記載されている内容からどのような戦いがあったのかを調べていくと、後世に残せる立派な資料になる。
本人が亡くなっている場合の申請可能な者の範囲が広がっているようです
九州の場合ですと以下の県がここに掲載されている親等数が変わっています(県のサイトから確認できるもの)
福岡県、長崎県、熊本県 民法上の親族(6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族)
ご報告まで
ご連絡ありがとうございます。
全国的に広がっていけばいいですね。