城データ
城名:古吹城
別名:古吹ヶ城
標高:562m
比高:260m(車で途中までいける)
築城年:南北朝時代
城主:有富氏、志道氏?
場所:広島県安芸高田市向原町有留
北緯:東経:34.559962/132.694034
攻城記
麓のアスファルトの道路から砂利道に進んでいく。
狭いし道も悪い。
古吹城跡入口の石柱がある。
車は左に進んだところに少し広いところがある。
石柱からみた登り口。
もう少し右の方からが登りやすい。
ある程度登っていくとこのような遺構を発見する。
何か神社のようなものがあったと推測される。
そこまで古いものではなさそう(明治、大正くらいか)
古吹城の見どころである石垣。
本丸の周囲を囲む感じで石垣が取り囲んでいる。
埋もれているところも多いので発掘したらもっと見つかると思われる。
本丸。
しっかりと削平されており、綺麗な城。
二の丸に続く。
二の丸付近。
本丸付近の石垣。
二の丸に続く道。
二の丸付近。
二の丸から一段降りたところ。
少し進むと石垣がまたある。
ここの石垣も見どころ。
土留の要素が強いか。
三の丸に進んでいく。
尾根上を進む。
三の丸。
下をみると堀切も見える。
堀切の底の部分。
三の丸方向を見上げる。
四の丸。
本丸から降りていった小曲輪にも石垣あり。
養徳寺観音堂
有留氏の菩提寺と伝わる、志道氏との関係も否定できない。
五輪塔と宝篋印塔が混在しているが、戦国時代以前のものです。
高頭神社
有留氏が祈願所として創建。
位置関係
open-hinataより【古吹城】
下にも階段状のものがあるが、こちらは鷹山銅山跡。
余湖図【古吹城】
当時のイメージ図(余湖図コレクションより引用)
『芸藩通志』【古吹城】
拡大。
城の概要
毛利師親の末弟有留氏の居城。六段の郭あり
『日本城郭大系13』より引用
【立地】 本市南端のひときわ高い山上にあり、この山の西側部分は安佐北 区白木町です。
人里離れた山奥の高所ですが、有留地区の県道 328号線沿線のほぼ全域から山頂が見えます。
つまり有留全体 を見渡せ、北側からしか攻められない要害の地でもあり、非常時 に籠るには最適な場所だったのです。
また、麓の竹森谷集落に「ジョウ」(城?)と呼ばれる小さな城 館跡を今回確認しましたが、平時の館とも考えられます。
【歴史】
有留は中世には「有富」と呼ばれていました。
南北朝時代に毛利 の当主元春の弟、直元がここの地頭となって有富氏を名 吹城を築いたといわれています。
その後有富は戦国時代 利氏やその一族の坂氏などの領地になります。
また、1581年 の記録では有富にこれまた毛利一族の志道氏が在住していますが、古吹城との関係は不明です。
なお、有富氏はその後も存続し、 江戸時代は防長と有留に離散したようです。
【城跡】
山頂の1、2そして3の3つの中心部が細長い郭で結ばれています。
それぞれの周囲は小規模の郭が取り巻き、これらが不明瞭ながら通路で繋がり、城全体が一 体的な構造になっています。
また、特筆されるのは土留めとして築かれた石垣で、これほど何箇所も石垣のある城は市内では稀です。
城の位置、規模、石垣の使用をふまえると、現在の城跡が南北朝時代の有富氏のものとは考えにくく、戦国時代に大幅に改修されたの ではないでしょうか?
『安芸高田お城拝見』より引用
城の歴史
南北朝時代の築城と伝えられる。
1372年:毛利親衡の三男で元春の弟直元が麻原郷地頭職を譲られる。
地名から有富氏を称する。
※有富氏によって古吹城が築かれたと伝承がある。
ただし当時はこのような石垣のあるような立派な城とか考えにくい。
戦国時代:当時この地域は志道氏の所領であったことが分かる
村山家檀那帳には「ありとミ」に志道氏は記載されている。
一合 帯 五明 下緒 御供のし五十本 志道宮内(元親)少輔殿
麻 五明 小刀 のし 志道新五郎殿
城主家系図
有留氏
志道氏
城主(一族)石高
志道氏一族としては
志道 太郎三郎 1,324石
志道 太郎左衛門 296石
志道 佐馬助 176石
志道 惣兵衛 150石 (高田郡に100石所領あり)
志道 長門 50石
が『毛利八箇国御時代分限帳』に記載されているが詳細不明。
『芸藩通志』に志路宗兵衛宅跡とあることから、上記の志路 惣兵衛の所領だったのではないか?
となると、志道元親の子か孫くらいにあたるのかもしれない。
所感
●毛利元春の弟である有留直衡については詳細不明。
●戦国時代まで有留氏が存続していたのか断絶したのか、江戸時代は防長と有留に離散とあるので滅亡はしていないと思われる。
●そうなると、坂氏の没落に引きずられた可能性もある。
●近世有留村の石高は700石あり、志道元親及び子孫がこの地域を支配したのであればそれなりの所領があったのではないか。
●城の遺構は素晴らしく、綺麗な削平、城域の広さ、石垣も多くある。
関連URL
参考URL
参考文献
『日本城郭大系』13
『広島県中世城館遺跡総合調査報告書』
『広島県の地名』
『広島県地名大辞典』
『萩藩諸家系譜』
『毛利八箇国御時代分限帳』
『萩藩閥閲録』
『安芸高田お城拝見』
公開日2025/05/05