はじめに
先祖探しは1人ではできません、正確には1人でやるには限界があるということです。
特に年代を遡っていけばいくほど様々な方としっかりとコミュニケーションをとっていかなければ挫折する可能性が高まります。
逆に、様々な方としっかりコミュニケーションを取れれば自分の予想したものよりも大きな成果を得られることもあります。
その為のキーワードが共感力です。
広辞苑によると「他人の体験する感情や心的状態,あるいは人の主張などを,自分も全く同じように感じたり理解したりすること」とされています。
他人の話を傾聴することといってもいいかもしれません。
相手は自分の話や事柄について理解してくれる人間を信頼しますので、共感力が高い方はそれを自然としています。
では先祖探しにおいてはどのようなことが共感力の高さにつながるか検証してみましょう。
①戸籍謄本入手
戸籍謄本入手は最初の関門になります。
入手には2パターンあります。
1つは役場に行き直接請求、もう1つは郵便請求です。
ともに事務的なことなので請求すれば交付されますが、それは最近の戸籍であって明治19年戸籍や明治31年戸籍の場合は古くて「これ以上は無いですね」で終わることも往々にしてあります。
本当に知識がない方もいますし、面倒で探すことをせずに無いという場合もあります。
今まで戸籍交付で一回無いと言われたものが再度申請して出てくるという話は多々あります。
郵便請求でも同様のことが発生しています。
ここで共感力を発揮するといい方向に進む可能性が高まります。
係の方も人間ですので日々のお仕事大変です、相手の立場に立った物言いをすることが重要になってきます。
(例)
●お忙しい中対応していただきまして大変ありがとうございます。
●無理を言って申し訳ございません、●●さん(名札を見て)が一生懸命に探していただけるので助かっています。
●古い戸籍の為、探すのが難しいかもしれませんが丁寧に調べていただき感謝します。
●稀なケースだと思いますのでなかなかだと思います、私も同様なことがあれば面食らうかもしれませんが対応が嬉しいです。
などなど。
決して職員なので当たり前だろう、という考えではなく、しっかりと相手と一緒に古い戸籍を確認するというスタンスは必要になってきます。
相手も人間ですので、請求者が丁寧な対応で接してきたら、難とか調べないといけないと思い深掘りしていくと思います。
それでも駄目な場合は、上級者(課長)などとお話してもいいと思われます。
役場だけでなく、法務局や図書館、文書館、公民館なども同様です。
②近い親戚に話を聞いてみる
近い親戚とは両親、祖父母、叔父叔母になります。
特に祖父母や叔父叔母などは先祖の話よりも、今現状の話(私たちのことや自分たちのこと)をしてくるかもしれません。
そこはまずは話を聞き、共感して一旦話をすることが重要になります。
一通り話をした後は言いたいことを全部話されていますので、こちらの質問に対しても明確に答えてくれるでしょう。
最初に可愛い話をよく聞いてくれる孫や甥や姪になることも重要です。
愛想のある人間には優しくするのが人情ってものです。
また、先祖探しの場合は1回で終わることはありません、同じ話でも何回も聞くと新発見がありますし、違うネタも出てきます。
これが先祖探しの不思議さであり、私の場合も父親に30年以上先祖の話を聞いていますが「えっ何それ聞いていないよ」ということが未だにあります。
親戚なので今後も永続的にいい関係を構築することで、新発見や新事実が出てくることもあります、最大限の共感力で対応しましょう。
③遠戚に話を聞いてみる
遠戚とは親戚の紹介や手紙を出してやり取りして実際初めて会うような方になります。
例えば、祖母の従兄弟の実家や6代前の先祖が共通だったり、と普通に暮らしていると会う事はない方になります。
基本的には②の親戚と同じような感じで話をしていけば問題ありませんが、いかんせん初対面になりますので、こちらの人間性を分かってもらう必要が出てきます。
先祖探しをしている方に悪い方はいないとして、初対面ではなかなか話をすることが苦手でぱっと見は難しそうな方と思われると損ですので、初動での対応が重要になります。
話をするのではなく、話を聞くということが一番です。
最初に先祖探しをしている理由を話したあとは、遠戚の方の話をお聞きするというスタンスで対応します。
これは2パターンあります。
1つ目は先方が積極的にお話をするタイプ
こちらはとにかく話を聞くに徹して対応します、先祖に関係ない話をすることも多いですが、とにかく話を聞きながら共感することで意外なところから先祖の話(エピソードなど)を聞けることがあります。
年配の方は自分が若い時の話をよくされることが多いですが、傾聴しながらじわじわと確認事項を聞いてみましょう。
2つ目は話をしないタイプ
こちらは対応を1人でするのではなく、ご家族も交えながらご家族への共感も踏まえて対応する必要が出てきます。
特に奥様や息子の嫁などとも話をしつつ、核心に迫っていく感じで話をしていく方法になります。
その時に質問票などがあれば便利です。
質問票はこちら。
遠戚の場合は再々会えるということは考えにくいので、しっかりと相手の立場(お話)をお聞きして共感することで親密な関係を短時間で構築する必要があります。
④お寺へのアプローチ
お寺の過去帳が最終目的になります。
お寺の過去帳には自宅の過去帳よりも古いご先祖様の戒名(法名)を記載されていることもあります。
このお寺の過去帳に記されている情報が先祖佐探しの最終情報だといっても過言ではありません。
しかし、一番の難易度が高いのも事実です、昔は過去帳を見せてもらうのも簡単でしたが、現在では難しい状態ですので住職に先祖に関わる方を抜き出して貰う事になります。
これがまた厄介な作業で簡単ではありません。
その理由は
①家毎で記されているのではなく、時系列で記載されていることが多い(または日によって)その為、その家のみを抜き出すのは困難。
②江戸時代以前の過去帳は住職が達筆で読めないことが多い(というかほぼ読めないものもある)
住職も現代人ですので、古文書を読む練習をしないと読めない方が普通です。
③そもそも檀家でもない家の方が訪ねてこられても迷惑であり面倒なことはしたくない。
上記の理由で体よく断られるこも多々あります。
その場合は昔「お寺が火事になった」というのが常套句で(本当の場合も多いですが)その次は「本山から禁止されているので難しい」と言われることもあります。
確かにそれもごもっともなのですが、手紙のやり取りや檀家である親戚(遠戚)からの正式な依頼で対応して頂ける場合もしっかりと共感力をMAXにして臨みましょう。
その場合事前に自分が調べて資料の提出や戒名表を提示することをお勧めします。
このような表を作成して分かっている範囲で記入しておく
戒名表はこちらでダウンロードも出来ます。
例えば白は判明しているところ、黄色は自宅では分からないものとしておき、黄色の部分を確認して欲しい旨を伝えれば住職も確認がしやすいです。
最初に住職も忙しい中で対応していただくことに感謝。
その後住職が色んな話をしていただけることもありますが、素直に傾聴する。
色々な話をした後に上記のような資料を提出して不明なところを確認していただく。
誠心誠意対応をしていけば高確率でご協力していただけるのはないかと思います。
過去帳の抜き出しになりますのでその場で対応していただくよりも後日になるかもしれませんが、そこも共感力の最大化で対応します。
運が良ければ1700年代前半に亡くなった方も発見できます。
そうなると1600年中ごろに生まれた先祖になり、今から350年以上前のご先祖様が分かることになります。
ここまでは稀なケースですが、それでもお寺の過去帳では多くのご先祖様の情報を得られることは間違いないです。
⑤共感力キーワード
まずは
は ひ ふ へ ほ です
は:は~~(感嘆で)凄いですね
ひ:ひ~~ これを言うのは稀な時
ふ:ふ~~ん(深くうなずく)それは●●ですね。
へ:へ~~(感嘆や驚きで)
ほ:ほ~~~(驚きで)
他にも
えっ?そんなことがあったんですか?
うわ~~、それされたら●●ですね!!
すごいですね、ご先祖様って●●なんですね!!
なんとそんなことがあったんですか!!
更に上級テクニックとしては、
上記のキーワードの後に「そのあとどうなったんですか?」「凄いことがあったんですね、詳しく知りたいです!」
などを付け加えると、話も広がり、深掘り可能です。
相手の話に相づちをして、大きくうなずいたり、驚いたり、上記の言葉を入れていくことが共感力を高める最初の一歩です。
最後に
上記のことはテクニックになりますので、そもそもご先祖様を真摯に探したい、もっと深く先祖がどのような方だったか調べたいという気持ちがないと駄目です。
テクニックだけでは人の心は動きません、また対応していただける方は自分よりも年配の方だと思います。
色んな経験をされた年配の方に言葉だけで対応しても見透かされるのが落ちですので、しっかりとした心持ちと対応は最低ですが、それがあれば逆にいうと誰しも共感力は高まらせることは可能です。
是非とも相手の立場にたった考えで行動してご先祖様の情報に1つでも近づけるようにしましょう!!
公開日2022/05/28