はじめに
先祖探しをすると、最初のプロセスして、先祖を遡っていくことに興味を持ち注力していきます。
最初は戸籍1世代1世代遡っていくのでワクワクします。
概ね江戸時代末期の方が記載されています(概ね4~7代前の方が判明)
その次ぎに、過去帳、位牌、お墓への調査を行っていきます。
この三種の神器で先祖の戒名(法名)や続柄、享年などが判明してくることになります。
これらを調べることで運が良ければ1700年代中期頃まで判明出来る場合があります。
ここまででも、かなりの情報を得る事が出来るでしょう!!
お寺の過去帳へのアプローチも必要になってきます。
自家では不明、若しくは位牌、過去帳等に記載のしていないご先祖様へのアプローチにはお寺の過去帳が必要になってきます。
すぐに行って見せて下さいと言っても、なかなか難しいので、じっくりと今まで調査した内容を説明した上で誠意を見せて説明できる準備を行う必要があります。
基本的には、先祖の名前を調査するのであれば、これでほぼ終わりになります。
しかし、本当にこれで良いのでしょうか?
本当の意味での先祖探し
先祖探しの醍醐味は先祖の名前が分かるだけでは無く、どのような場所に住み、そのような生活を行い、どのような思いで生きたのか?を調べる事にあると言っても過言ではありません。
何世代も前の先祖のことが少しでも分かれば自分の身内になりますので、これほど嬉しいものはありません。
そこで、他の事も調べていき、自分の先祖を多面的に調査して見ましょう!!!
屋号、家紋
屋号や家紋は自家を表すものになります。
今でも田舎にいくと苗字ではなく「屋号」で呼び合う地域も多いです。
お堂の前にある家だから「堂の前」という単純なものから、なんでそのような屋号になったのか不明な屋号もあります。
どちらにせよ、自分の先祖の家の屋号が分かると、ぐっと家の歴史の真相に近づいてきます。
家紋も同様です。
集落で同姓がみんな同じ家紋の場合があれば、逆に同じ苗字なのに家紋がバラバラな場合もあります。
その経緯も様々だと思いますが、その調査をするのも重要な案件になると思います。
家紋の場合は、代々受け継いでいる場合もあれば、経緯も不明で一般的な家紋の場合もあります。
逆にデザインが珍しい場合などは伝承も残っているケースがありますので注力して調査してもいいでしょう。
自分の名字が中世の国衆や近世の家老と同じ場合、その子孫の可能性もあります。
断定は出来ませんが、近隣の調査を行いつつ、自家と繋がらないかを検証していく作業のなかで新発見があるかもしれません。
旧土地台帳
旧土地台帳は自分の先祖が住んでいた土地の所有台帳になります。
当然土地を所有していないと存在していませんが、大半の方の場合は自分の先祖の名前が記載されたものを確認出来ると思います。
台帳記載の初期が明治22年頃で終わりが昭和30年代前半になりますので、明治時代の先祖の生活が分かります。
●村の全体の土地の面積はどの位なのか?
●当時の先祖の所有している面積はどの位なのか?
●村に占める先祖の所有している土地は多いのか?少ないのか?
※又は自分の先祖の一族としてはどの位の土地を持っているのか?
●自家に伝わっている伝承と整合性はあるか?
又、旧土地台帳では遠戚の直系卑属が記載されている場合が多いですので、その方へアプローチする場合にも重要な資料になります。
地形図
明治中期の地形が国土地理院にて販売しています。
この中から先祖の生活圏を知ることも出来ます。
明治の中期といえばまだ大規模開発をしていませんので、江戸時代の同じ道が生活道路として記入されており、車社会の今では考えられない様なルートもあります。
●高祖父母の村がかなり離れていると思っていたが、実は山の表と裏で峠を越えれば徒歩で1時間余りであった。
●伝承では戦国時代末期に先祖がこの地に戦に敗れて流れついたとの伝承があるが、どのようなルートで流れてきたのか?
●江戸時代中期に新田開発でこの地に来訪したとの伝承があるが、元の村からこの村の距離はどの位あるのだろうか?
オックスフォード大学のサイトでも地形図が一部公開されています。
航空写真
昭和22年頃のアメリカ軍が撮影した航空写真を国土地理院のサイトから確認出来ます。
上記の地形図の場所を航空写真で確認してみるとこのような感じになります。
地形図ではイメージ出来にくいものも写真となると、かなりリアルになってきます。
現在の地形はグーグルアースを使用すれば鮮明に把握出来ます。
郊外のベットタウンでは、戦後すぐと今日では大きく土地が変化しています。
現在ではイメージしにくいものも戦後すぐの写真を確認することで分かる事もあります。
また、地形図と航空写真は図や写真ですので調べた資料に追記することで、分かりやすいものになります。
村の歴史について
先祖が住んでいた場所の歴史も調査対象になります。
農村なのか?漁村なのか?江戸時代の米以外の農作物は?特産品は?
菩提寺や神社は記載されていないか?
土地の字などの由来などは記載されていないか?
こんな時には平凡社の「日本歴史地名大系」と角川の「角川地名大辞典」を一番お勧めします。
自分の県のは2つとも購入して置く方が便利です。
また、村の歴史だけではなく、石高や小字なども記載されていますので、当時のこと調べるには便利な本となります。
村の緯度、経度
村の緯度、経度も調べておけば、後世の子孫もどこにあったのか?をすぐに検索出来ます。
現在の我々でも、本家と疎遠になり、僅か4~5世代前の先祖の住んでいた場所を特定するのが困難な場合があります。
今後、グローバル化の中でその傾向は増加するものと考えられます。
そこで、今自分が知っている内容を経度、緯度で記すことで、後世の子孫がすぐに分かるようにするのも我々の使命ではないでしょうか?
緯度、経度に関して調べるサイト
調べる内容は
●先祖の住んでいた家の場所
●お墓の場所(新墓、旧墓)
●菩提寺、神社、古跡など
●先祖の伝承のある場所
などです。
自家に関わる写真
自家に関わる写真はデータとして保存をすることをお勧めします。
特に、本家や総本家にある写真はデジカメやスマホで何枚も撮り保存をしましょう。
具体的には
●昔の家の写真
●先祖の写真
●当時の雰囲気が分かる写真
文章だけで記したものは子孫が読んだ時でも味気ないものになりがちです。
画像をふんだんに使用することで、後世の子孫が先祖に思いを馳せることが出来るものを作成できればやりがいにも繋がります。
古い写真があれば望ましいですが、無い場合でも最近(平成など)の写真でも全く構いません。
100年後の子孫からすれば大変貴重な写真になります。
これらを纏めて一元化することで、相当な資料ができると思われます。
雛形を作成して家毎ごとに作成すれば、かなり貴重な資料になることは間違いありません!!
例を作成しました(複数シート有り)
↓
これはあくまでも一例です。
各家においてはこんな事も追記したい、この事を後世に残したい、というものがあると思います。
それらをふんだんに盛り込んで1冊だけのオリジナル資料を作成してみましょう!!
【まとめ】
●戸籍、位牌、お墓、過去帳から得られる情報意外にも入手出来るものは多い。
●家紋、屋号、旧土地台帳などの情報。
●地形図、航空写真、家に残っている写真類など目で見てイメージが湧く情報の記載も必須。
●経度、緯度なども後世に必要な情報なので詳細に記録しておく。
公開日2020/02/22
更新日2021/08/08