はじめに
位牌には先祖の戒名(法名)や享年、続柄、俗名などが記載されている重要なものになってきます。
過去帳、お墓とセットで3種の神器です。
先祖探しをしていくと、この位牌を確認することで多くの情報を得ることができます。
また位牌の形態を確認することで、その古さやどの位の財力があったかを確認することも出来ます。
地域の有力者(地侍)の位牌
この位牌は恐らく1500年代後半から1600年代前半のものと推測されます。
位牌の方は永正十七年(1520)に亡くなっています。
当時からの位牌かもしれませんし、後年新しく作ったのかもしれません。
しかし、相当古いものであることは間違いありません。
※黒塗りの部分が経年劣化ではげている感じが相当の古さを感じさせます。
このような古い位牌が家にあることはなかなか考え難いですが、知識として持っていると有名なお寺とかに行きそこに並んでいる位牌をみただけでいつの時代のものかがある程度推測できると思います。
これもかなり古いものと思われます。
黒塗りしていない白位牌ですが造りといい当時としてはかなり高級な位牌と考えられます。
因みに、上記の黒塗りの位牌と同じ人物です。
少し時代が下ってから再度作成したのかもしれません。
1600年代の位牌ではないでしょうか?
これは和尚の位牌ですが、大きさや造りもよく、重厚感のある位牌となっております。
当山開山とありますので、なるほどとなります。
あまり古くはないと思いますが、それでも1700年代の位牌だとは思われます。
しかし、その裏にある位牌もなかなか珍しい位牌ですね。
雲首型の位牌で、年代はかなり古いものになります。
実家や遠戚の家にこの形がある場合は当時武士でも相当上級に相当するような家ではないでしょうか?
ここまではお寺の開山した人物(つまり地元の国衆や地侍階級)や和尚など特別な人物の位牌です。
庶民の位牌
庶民の位牌と言えば江戸時代を通じて繰位牌に白い木札で小さいものが纏めて入れられているというのが一般的です。
一般的な位牌です、小さい木札に戒名や享年を記入したものになります。
しかし、ここに書いている情報が全てであり、どれだけこの情報に行き着くかが先祖探しの目標になります。
1700年代から続く家なんかは、この木札の位牌ですら20以上ありますので、それをデータベース化して続柄や没年、享年からの世代推測をする時が一番有意義な時間になるでしょう。
庶民の家では古くて1700年代前半から明治時代くらいまではこのような白い木札のようです。
※一部では今でも白い木札を使用しているようです。
また、位牌には戒名、享年、行年、続柄、俗名などが記載されていますが、全部が記載されていることはありません。
お墓の情報、過去帳の情報を合わせて1人の人物情報になります。
明治以降の位牌
明治時代になると、一部の家では白い木札の位牌からこのような重厚な位牌へ変わっていくものもありました。
裏を確認すると、亡くなった方の俗名や享年、行年の記載もあります。
ただし、ここら辺になってくると、既に戸籍からの情報で分かってきます。
位牌での確認事項は戒名と位牌の大きさなどになります。
ただし、ここで重要なのはお墓の戒名と位牌の戒名と過去帳の戒名が同じであるかと言うことになります。
よくあるのが、位牌の戒名とお墓の戒名が違う場合があります。
頭を悩ませることになりますが、そのような場合は併記しときましょう。
最近の位牌
最近の位牌はこのように金箔のものもあります。
また、戦前や戦後まだ高度成長時代前に亡くなったご先祖の位牌を別途作り直す場合もあるようです。
最近の位牌ですので、情報としてなにか位牌から得るということはないと思いますが、形態の変化の勉強になると思います。
まとめ
①お寺などに行くとかなり古い位牌があるので勉強の為に見て見ることもいい。
②自家の位牌は古い家では繰り出し位牌で白い木札に先祖の戒名、享年、行年、俗名、続柄などが記載されている。
※ただし全て記載されて居ることはなく、断片的な情報になる。
③明治以降は少し重厚感のある位牌も増加してくる。
④最近の位牌は黒塗りや金箔塗りのものがスタンダードになってる。
公開日2019/08/25
更新日2021/08/01