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【墓石】拓本の取り方【方法】

 

はじめに

先祖探しの三種の神器である「位牌、過去帳、お墓」は貴重な資料になります。

 

この3つにはそれぞれ特徴があります。

 

位牌:仏壇に残存している確率が高い反面、断絶していたり、当主が興味無い場合は閲覧出来ない。

 

過去帳:位牌よりも情報量が多い反面、家でしっかりと作成しているところが少ないように感じる。

 

お墓:お墓の場所が特定するのが難しいが、特定できればその情報は貴重なものになり得る。

 

そう、お墓が残存している場合、その墓石に彫っている情報は非常に貴重なものになります。

 

1700年代のお墓なども家や地域によっては多く残っている場合も少なく有りません。

 

また、墓石に彫っている情報は読み取れれば、建立当時から変わらない情報になりますのでお寺の過去帳との照らし合わせにも便利です。

 

このような感じで古いお墓にある情報を1つ1つ丁寧に読み取っていけば、大きなデータベースになります。

 

そのデータベースを元にお寺にこの先祖の情報がないかを確認するという方法をとっていきます。

 

しかし、200年以上経過したお墓の場合、肉眼では読めなくなっている場合があります!!

 

当然といえば、当然です、長い年月の間に墓石も風化していきます。

 

彫りの浅い墓石、石の材質、地域環境などの要因がありますが、肉眼で読めないが、何かしらの情報があるのが分かっている場合。

 

肉眼では読みにくい墓石、長年の風雨等で彫りが薄くなっている場合もある。

 

そんな時には拓本にチャレンジしてみませんか?

 

拓本とは文字や文様の刻まれた石、金属、木などに、紙を貼り、その文字や文様を写し取ったものをいいます。

 

また、拓本は一種の印刷技術であります、印刷や版画は、版面に直接インキや墨を塗り、紙を当て刷るものです。

 

しかし、拓本は印刷や版画と全く逆で、版面(被拓物)に直接インキや墨をつけて汚すことはありません。

 

拓本は、被拓物に紙を貼り、墨を湿したタンポでたたき、写し取ったものです。

 

拓本で肉眼では読み撮るのが難しいものを読み取ることができれば、また新しい先祖の情報を得られます。

 

その情報が先祖探しの進展に大きく関与することもありますので、肉眼で読めない墓石は拓本をしてみましょう!!。

 

【具体的なやり方】

【道具を集める】

さて、拓本を実行するとなればまずは道具を集めないといけません。

 

拓本をするには、墓石と画仙紙と墨があれば良いのですが、そう簡単ではありません。

 

●墨:当然これが無いと拓本が取れません、水性と油性がありますが、油性の場合は用紙が乾かなくても滲まず採拓でき、又、墓石を汚すおそれが少ないので初心者には使いやすいです。

 

●拓本用紙:専用のものはありませんが一般的には画仙紙を用います。

 

●タンポ:これを墓石に打ち付けて文字を浮かび上がらせます。

 

●刷毛:画仙紙を墓石に密着させると同時に凹部の空気を外に逃がすのに便利です。

※刷毛を使わずにスポンジを使って行う場合もあります。

 

●布:墓石に画仙紙を密着させるさい、紙面の上にのせ刷毛で叩く時に使用します。

※直接刷毛でうちつけると、拓本用紙が破けたり、紙自体が毛羽立つのを防ぎます。

 

●霧吹き:これで墓石と画仙紙を水で密着させます。

 

●その他:新聞紙で濡れた画仙紙の水を吸う テープで墓石と画仙紙を止める、はさみで画仙紙を適当なサイズに切る。

 

最近は便利なもので、ネットで購入できます。

お勧めは墨運堂の拓本セットです。

 

特徴として

●必要な部材が全部揃っている。

 

●拓本の取り方のマニュアルもあり不安が取り除ける。

 

●練習用の版画があり何回か練習できる。

 

このように練習用がありますので何回か練習しましょう。

●画仙紙の貼り付けかた。

 

●霧吹きの水の量。

 

●乾く時間。

 

●刷毛やタンポの打ち付ける角度や強さ。

 

私はこれで、画仙紙が意外と薄いもので普通にやると破けるものと認識しました。

 

また、破けていることに築かずにタンポを打ち付けて、版木が墨で黒くなりました。

 

実際に行う場合は慎重にしないといけない、そうしないと墓石に墨が付く可能性があると認識しました。

 

道具はこちらで問題ありません。

 

あとは画仙紙です。

 

私は、弘梅堂 書道 画仙紙 条幅紙 良寛 100枚 因州和紙 (半切 35×136cm)というものを購入しました。

枚数も多くコスパが良いです。

 

あとはその他をホームセンターにて購入。

 

●霧吹きは500mlタイプが無難です。

 

●墓石と画仙紙を接着するのは養生テープが最適。

 

●刷毛の代わりにスポンジを使用して対応する場合を考えて購入。

 

●墓石用の小さなほうき、これは購入必須、墓石の彫ってある溝は砂や泥で汚くなっています、また、墓石の下も同様です。

 

拓本セットと画仙紙はAmazonが便利です。

 

 

【実践編】

これで準備が終わりました。

 

さて、あとは実際に行き拓本を取ります。

 

今回はこちらの墓石で拓本を取りました。

 

お寺の墓石群で墓石の形態から1700年代と推測されます。

 

●墓石に画仙紙をテープで止める。

 

●霧吹きで満遍なく画仙紙を濡らす。

 

簡単に出来ると思いましたが、すでにここで若干の壁があります。

 

それは、墓石と画仙紙を止めるテープがくっつかないということです、古いお墓の場合風化しておりザラザラしています。

 

その場合は接着面積が足りなく、粘着が弱くなります、そうしたら取れるかもしれませんので、ここはしっかりと固定する。

 

水を拭きかけたら、墓石の溝に刷毛を打ち付けていき、文字の中に画仙紙を入れ込んでいく。

 

この時にあまり強くすると、画仙紙が破けます、柔らかくすると奥まで入れ込む事ができません。

 

水が多い場合は新聞紙などで給水する、刷毛を直接打ち付けるのでは無く、布をあててから打ち付けるというように調整をします。

 

穴が開きそうな場合はスポンジを使用するのも一案です。

とにかく、ゆっくりと破けないように丁寧に、しかも文字のぼってあるところにはしっかりと画仙紙を入れ込む。

 

ここで一旦画仙紙が乾くのを待ちます。

 

夏ならいいですが、冬の場合は乾くのに時間がかかるのが難点です。

 

画仙紙が白くなってくるのがタイミングになります。

 

乾いている間にタンポの用意をします。

 

タンポは墨から直接するのではなく、画像の様に2つを使用します。

 

●2つのタンポを墨缶に入れ墨をつける。

 

●次にタンポ同士を画像のようにくっつけて墨を馴染ませる。

 

●両手でも持ち、右手のタンポを使用して墓石に墨をつけていく。

 

●薄くなったら、左手のタンポにすりつけて、補充する感じで行う。

 

これは直接墨缶にタンポを入れてから墓石に墨をつけると黒くなるからです。

 

2つのタンポに馴染ませることによって、墓石の画仙紙が最初から黒くならないようにします。

 

 

何回か試行錯誤して、やっとこのレベルの拓本になりました。

 

■禄七甲戌年

 

■宅了安信士

 

が読み取れます。

 

元禄七年=1694年

今より200年以上前の墓石になります。

 

しかし、これは文字がかなり鮮明に残っていたので上手くいきました。

 

難しいのは風化して摩耗している場合です。

このレベルになると肉眼では何を彫っているか分からないレベルです。

 

溝を確認するも、彫っているのかも不明です。

 

唯一墓の上部に○が彫って有るのが確認出来ます。

 

実際にやってみると、これまた問題にぶつかります。

 

墓石と画仙紙が浮かびます。

 

原因は文字を彫っている面が一段低くなっており、周りの輪郭部分と段差があるので、ぴったりとくっつかない状態になっています。

 

これだけの隙間が開くと拓本出来なくなる。

 

以下に隙間を作らないかが重要になってくる。

 

こちらも何回か繰り返して拓本をする段階まで来ました。

溝が浅いので最初はゆっくり丁寧にタンポで打ち付けていきます。

何回か打ち付けていくことで少しづつ黒くなっていきます。

 

何となく文字が浮かび上がってきました。

 

明、蓮などの文字が見える感じも受けます。

更に打ち付けていくと逆に分からなくなりました。

 

このように、余りにも溝が薄い場合は解読出来ないこともあります。

 

または、小さな字で摩耗が激しい場合は文字自体が潰れて読めない状態になっていることも多いです。

 

今回は2つの墓石の拓本にチャレンジしました。

この2つの拓本だけでも試行錯誤をしていたため2時間は経過していました。

 

本当は倒れかかっている墓石もやりたかったのですが、お墓の移動が難しい為今回は諦めました。

倒れかけている墓石(2基)

明らかに文字が読めそうだったので、拓本をする価値がある。

 

先祖のお墓で拓本をする時にこのような事例があるかもしれません。

※良くあるのが、墓石をまとめた場合です。

 

このような場合での拓本は難易度上がります。

しかし、この墓石に記載している情報が分かれば、貴重な情報が入手出来ます。

 

最後に、片付けをして周りを掃除して、忘れ物がないか確認。

 

お墓にお礼をして帰ります。

 

失敗したものは1つに纏めて持って帰ります。

 

【気づき】

今回での気づきは以下になります。

 

●拓本は簡単にはできない、何回か練習をすることで上手くなる。

 

●墨が気がついたら色んなところに付いている(手、他の道具、スマホ)

 

●お墓の場合は外輪の凹凸をぴったりとくっつかない状態なると精度が下がる。

 

●画仙紙は弱く、強い力で打ち付けると破ける。

 

●画仙紙を刷毛で何回も打ち付けると紙が毛羽立つ(つまりその部分が薄くなる)

 

●夏は蚊が大変多く、腕が噛まれて痒かった(虫除けスプレー必須)

 

●冬は霧吹きした画仙紙が乾くのに時間がかかる。

 

●画仙紙が大きい (半切 35×136cm)のでハサミで必ずきらないといけない。

 

●水が手に入らないところでは予備の水を用意しないといけない(ペットボトルなどで準備する)

 

●文字が風化している場合は拓本しても読めない場合もある。

 

上記の気づきは実際に拓本をやらないと分からないことでした、実際に行動して分かる事も沢山あります。

 

最初から上手にいくことはありません、1つ1つ経験を積みノウハウを身につけて上達していけばいいと考えましょう。

 

公開日2020/09/06

公開日2021/09/12


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