はじめに
先祖探しのなかで江戸時代のことが詳細に分かっている家はなかなか少ないと思います。
当時の古文書や日記に当家のことが何かしらの事が記載されていれば、少しは分かりますが基本的になかなか無いと思います。
お墓の形態から当時の家の隆盛が分かる場合もあります。
家の事が分からない場合でもせめて村の状態が分かれば、そこから見えてくる景色もあるかもしれません。
では、具体的にはどうすればいいのか?という問題になりますが、まずは村の石高を調べてみるのはどうでしょうか?
石高を調べるには2種類。
1つは平凡社の「●●県の地名」の巻末にある石高の推移表です。
これは非常に便利です。
もう一つはネットで公開されている江戸時代の石高です。
ここに自分の先祖が住んでいた村を入力すると当時の石高が出て来ます。
こんな感じで表記されます。
258石と出ています。
江戸時代1人に付き1年間で1石消費すると言われています。
また、江戸時代は4公6民と言われています。
江戸時代の1世帯の人数が不明ですが、仮に6人平均だとして。
258石のの6民で155石が村の取り分。
155石÷6人=25世帯
農業だけでなく、農閑期などは別の仕事にも従事している可能性もあるのでもう少し世帯数は増えると想定して。
30~35世帯くらいが江戸時代のこの村の世帯数ではないか?と考えられます。
次ぎに、旧土地台帳の出番です
法務局によって対応は様々なので一概には言えませんが、仮に閲覧ができる法務局の場合は閲覧してみましょう。
その村の1番地から最終番地までを記入して所収者名と面積や地目を書き込んでいくと大きなデータベースが出来ます。
テクニックとして何千と地番がありますので記号で書いていきましょう。
例えば、井上啓太郎だったら井啓 というように少しでも文字数を書かないようにするとか、地目の場合は田圃はT 畑はH など
土地の面積は例えば2.528というように記載してみる。
同じ人物が多くの面積を所有していますので、こちらの方が楽です。
この場合はこの表を利用すると便利かも知れません。
この旧土地台帳の初期(明治22年当時)の方の人数を数えると当時の世帯数が分かります。
江戸時代の推定世帯と旧土地台帳の世帯が同じ位でしたら、江戸時代の世帯数も予測とほぼ同じだと思われます。
旧土地台帳の表をエクセルで管理したら、村の田圃や畑の面積が分かります。
そうしたら、村の中で当家はどの位の土地を持っていたかが判明します。
伝承で庄屋だったと言われていたが、そこまで所有はしていなく上位6番目だったとか。
逆に、うちは昔から苦労しており大変だった、を確認したら明治22年当時はかなりの土地持ちだったなど。
また、伝承でうちのひいひい爺さんさんが大酒飲みで1代で身上を潰したが息子の代で辛苦して土地を買い戻したということも分かります。
また、可能であれば実際に田舎に行きそこに住んでいる方に戦後すぐの世帯数がどの位かを聞いてみるのも手でしょう。
このような、アプローチから当時先祖が生きていた風景を抜き出すことも可能です。
そこに、お寺や神社など画像をイメージしながら考えていけば、当時のことが少しでも再現できるのではないでしょうか?
また、飢饉の時にはこの石高が確保できなかったことは想像に難くないです、位牌や過去帳などで特定の時に多くの方が亡くなっているのを確認できれば、これも当時の大変さを分かる機会にもなります。
先祖探しは先祖の事を思う作業です、その当時のことが少しでも分かればまた自分の見方も変わってくるかもしれません。
まとめ
①江戸時代のことを調査するには石高から予測する方法がある。
②平凡社の「●●県の地名」か旧高旧領取調帳データベースの検索を行うことで石高が判明する。
③旧土地台帳を村ごと確認することで当時の土地所有者と面積、地目が分かる。
④上記のことを勘案して江戸時代のことを少しでも分かれば先祖のことに思いをはせられる。
公開日2019/09/15
更新日2021/08/01