はじめに
先祖が商人や職人の場合の調査方法も基本的には農民と同じです。
戸籍以前は位牌や過去帳、お墓の調査及び、宗門人別帳になります。
商人や職人ということは、現代では市内のど真ん中になっていると思われますので、現在同じ場所を確認しても全く違う光景になっています。
また、職人の場合は長屋などに住んでいる可能性もありますので、旧土地台帳に記載されていないかもしれません。
しかし、確認する価値はあります。
商人や職人と行って皆さんは時代劇のように江戸や大坂の大きな町を思い浮かべるかもしれませんが、そうではないかもしれません。
現在の町役場(人口数万人)があるところも江戸時代には商人や職人が住んでいたと思われます。
大規模な町屋を形成している訳ではありませんが、それでも20軒~30軒位の商家が立ち並んでいたことでしょう。
更に、村でもある特定の場所に何軒かの商いをしていた家があります。
小字で市場というところがあればそれは名残です。
こんなイメージです。
しかし、商家がある地域ということは農村に比べたら絵図などが残っているかもしれませんので、図書館や文書館、教育委員会に確認することお勧めします。
運が良ければ絵図があったりするかもしれません。
ただし、江戸時代の絵図ですので草書で書かれているものが殆どです、ここから自家を探すとなると困難ですが、調査し甲斐はあります。
武士ではありませんので、苗字はなく名前のみの表記になります、稀に屋号が記載されていることもあるかもしれません。
年代が特定できれば当時当主だった先祖の名前を確認することとなります。
商家の場合は当主になった時に歴代同じ名を名乗ることも多いですので、特定するには簡単かもしれません、しかし、広い範囲の場合同じ名前で全く違う家系の場合もあります。
上記の絵図は刊行物としてありますが、商人町では、老舗と呼ばれる今でも店を構えている有力店舗には古い絵図があったりするかもしれませんので、商人の場合はそちらの確認もお勧めします、案外世に出ていない資料が残っていたりするかもしれません。
仮にお寺の過去帳が確認できれば屋号が判明している場合は農民と同じように遡ることが可能です。
商人ですので独特の屋号(加賀屋、大和屋、伊勢屋など)の可能性も高いです。
行政が力を入れているところの市町村史の場合は、江戸時代の通史もボリューム感があり、そのなかでも商家のところに紙面を割いている場合もありますので注視してみましょう。
商人の町を調査してみよう
また、当時の商人町の調査をすることにより、先祖の生活していた姿がリアルに想像できます。
ひょっとしたら、神社の寄進などで多額の金銭を寄進している資料が出てくるかもしれません。
職人の場合は、特別な資料は存在していませんが、どのような職人であったのか?なにか作っていたのであれば、その作っていたものが、どこに売られていったのか?大工や左官職人の場合は、当時の職人の研究をすることにより、先祖の生活感を感じられると思います。
町に出て来たということは、そもそも、その前はどこかの農村からの出身だと思われます、家伝で伝わっていることがあれば、農村の調査も範囲に入ってくるでしょう、まさにフィールドワークになってきます。
この場合は親戚を広範囲に調査して確認をする方法が必要になってきます。
曽祖父の兄の系統にそのような伝承が伝わっているというケースもありますので子孫の家をローラー作戦で1軒1軒確認しましょう。
ひょっとした鴻池財閥のように山中鹿之助の子孫が、戦に敗れて帰農する道では無く、商家になるという選択肢をとったかもしれないです。
白牡丹の場合は島左近の子孫が造り酒屋を開いたようです。
塙団右衛門の子孫は後世に島根県に移動して製鉄業を営みました。
漁業関係者で江戸時代の養殖従事者(牡蛎、海苔)の場合はどこかの村や漁村から移動していると思いますので、そちらの調査も興味深いものになってくるかもしれません。
このように、商人、職人などもセオリーはありますが年代を遡っていくと、ケースバイケースになりますので、自分の家にあった調査方法を探し出していかなければいけません。
【まとめ】
●商人、職人は農民と同じように戸籍や位牌、お墓、過去帳及び宗門人別帳の調査が最初になる。
●商人町なので絵図などが刊行物として存在しているかもしれないので、確認してみる。
●老舗の商家には古い地図や資料もあるのでその中に自家のことが記載されている可能性もある。
●商家であれば神社への寄進などしているので、名前が記載されているかもしれない。
●商人、職人、漁業従事者なども最初はどこからの村から移動してきたと思われるので、伝承など残っていないか確認する、もし判明したらそちらの方の調査も行ってみる。
公開日2019/6/17
更新日2021/07/18