はじめに

戸籍には多くの種類があります。

明治5年戸籍(壬申戸籍)

明治19年戸籍

明治31年戸籍

大正4年戸籍

昭和23年戸籍

平成6年戸籍

 

このなかで明治5年戸籍と明治19年戸籍の地番表記は様々です。

 

後の明治31年戸籍以降は全国統一で「番地」となりますが、明治19年戸籍以前は以下の4つの表記でした。

 

①番地:最も多く約50%の都道府県にて使用。

②番屋敷:関西と中四国地方で使用されている県が多い・

③番戸:全国で10県位使用しており特定の地域に偏っていない。

④番邸:岡山県のみで使用。

 

明治前半の戸籍に関してはまだルールもきっちり固まっていないということもあり、また時代的におおらかなであったためにこのような状況だったと思われます。

 

ただ、同じ地域でも県によってまばらに表記が違うところが興味深いと感じます。

 

こんな感じの表記となっています。

 

明治5年の戸籍も同様の表記となっていると思われますが今となっては確認することはできません。

法務局の中で永遠の眠りについております。

 

そこで、ツイッターにて日本全国の戸籍に関してどのような表記になっているかを確認させていただきました。

 

 

日本全国の方々の協力で完成しました。

 

明治19年当時地番表記

 

それがこちらになります。

 

都道府県の地図版。

 

ただし注意事項があります。

①明治19年当時の全ての町村を網羅しておりませんので、違う場合もあります。

②上記でも記していますが、同じ県でも地名表記が2つ以上ある場合も存在しています。

 

それでも、自分一人では無しえなかったことになります。

 

以下は全国の方々からの情報になります。

本当にありがとうございました。

 

 

日本全国の表記(順不同)

北海道茅部郡森村(現:森町)   番地

北海道古宇郡泊村         番地

北海道古宇郡盃村(現:泊村)   番地

北海道函館市           番地

北海道亀田郡尻岸内村(現:函館市)番地

北海道亀田郡銭亀沢村(現:函館市)番地

北海道島牧郡千走村(現:島牧村) 番地

 

岩手県稗貫郡(現:花巻市)    番戸

岩手県東和賀郡(現:北上市)   番地

 

 

秋田県北秋田郡白澤村(現:大館市)番地

石川県羽咋郡一宮村(現羽咋市)  番地

 

千葉県東葛飾郡:番地

 

滋賀県犬上郡清崎村(現:彦根市) 番屋敷

愛知県額田郡鴨田村(現:岡崎市) 番戸

 

岡山県上道郡西大寺町(現:岡山市)番邸

 

鹿児島県東桜島村 番戸

岡山県浅口郡(現倉敷市) 番邸

香川県仲多度郡、豊田郡 番戸

愛媛県喜多郡 番戸

兵庫県川辺郡(現伊丹市)、神戸市 番屋敷

埼玉県比企郡 番地

山口県熊毛郡(光市)番屋敷

熊毛郡佐賀村(周南市)番地

島根県美濃郡(益田市)番屋敷

岡山県和気郡(備前市)番地

愛媛県多度郡(香川県)番戸

高知県長岡郡(南国市)番屋敷

福岡県遠賀郡(北九州市)番地

広島県恵蘇郡(庄原市)番屋敷

同 御調郡(尾道市)番屋敷

同 三谿郡(三次市)番屋敷

 

新潟県上越市 番戸

福岡県久留米市 番地

大分県日田市 番地

新潟県中蒲原郡白根町 番戸

神奈川県三浦郡上山口村 番地

神奈川県三浦郡衣笠村 番地

神奈川県足柄上郡二川村 番地

 

秋田県秋田市 番地

福島県安積郡郡山村 番地

岩瀬郡須賀川町 番地

鹿児島県大島郡早町 番地

群馬県北甘楽郡馬山村 番地

南甘楽郡平原村 番地

 

新潟県南蒲原郡 番戸

 

埼玉県比企郡平沼村(川島町) 番地

埼玉県比企郡伊草村(〃) 番地

埼玉県入間郡北田島村(川越市) 番地

群馬県新田郡生品村(新田町) 番地

群馬県新田郡綿打村大字上江田村(新田町) 番地

 

北海道

岩見沢村(岩見沢市):番地、無番地

 

宮城県

遠田郡 番地

桃生郡(東松島市) 番地

志田郡(大崎市) 番地

 

福島県

標葉郡(双葉郡) 番地

田村郡(田村市) 番地

磐城郡(いわき市) 番地

田村郡(田村市) 番地

 

東京府東京市芝区(港区) 番地

 

新潟県

三島郡(長岡市):番戸

 

兵庫県

明石郡(神戸市):番屋敷

 

 

鳥取県河村郡

久米郡

島根県鹿足郡

美濃郡

滋賀県神崎郡

愛知郡

東浅井郡

西浅井郡

伊香郡

→以上全て◯番屋敷

 

 

宮城県伊具郡耕野村(現 丸森町)

宮城県刈田郡越河村(現 白石市)

宮城県宮城郡大倉村(現 仙台市)

 

鳥取県気多郡宝木宿(現鳥取市気高町宝木)

鳥取県法美郡山根村(現鳥取市国府町山根)

鳥取県高草郡賀露村(現鳥取市賀露町)

は番屋敷

 

京都府南桑田郡千原村(現亀岡市千代川町)

は番戸

 

 

【番地】

埼玉県入間郡豊田本村(川越市) 番地

東京府東京市浅草区(台東区) 番地

 

 

【番戸】

長崎県南松浦郡福江村(五島市) 番戸

新潟県東頸城郡(上越市) 番戸

※所持する東頸城郡の村を本籍とする戸籍 全て番戸

 

【番屋敷】

三重県一志郡八知村(津市) 番屋敷

 

 

番地

宮城県柴田郡、刈田郡

北海道厚岸郡、空知郡

秋田県由利郡

福島県東白川郡、標葉郡

山形県飽海郡、南置賜郡、米澤市

 

番戸

和歌山県那賀郡

番屋敷

徳島県板野郡

奈良県吉野郡

広島県賀茂郡

 

愛知県名古屋市:番戸

愛知県東春日井郡:番戸

京都市:番戸

静岡県志太郡:番地

 

香川県高松市西植田町 番戸

香川県木田郡三木町  番戸

兵庫県赤穂市     番屋敷

岡山県和気郡(備前市)番邸

 

秋田県北秋田市

長野県伊那市

長野県駒ヶ根市

長野県宮田村

佐賀県武雄市

福岡県糸島市

全て番地です

 

 

北海道函館区→【番地】

岩手県岩手郡(現:盛岡市)→【番地】

宮城県亘理郡→【番地】

神奈川県都筑郡(現:横浜市、川崎市)→【番地】

 

静岡県 静岡市(合併後2022年現在)

焼津市

藤枝市

駿東郡小山町

すべて番地です。

 

石川県珠洲市…番地

 

兵庫県川邊郡:番屋敷

山形県最上郡:番地

静岡県君沢郡:番地(ただし現在の地番とは異なる)

静岡県田方郡:番地(〃)

 

番地

宮城県遠田郡(現・大崎市)

宮城県登米郡(現・登米市)

岩手県東和賀郡(現・北上市)

番戸

岩手県稗貫郡(現・花巻市)

 

青森県下北郡関根村(むつ市)〜番戸

茨城県筑波郡牛縊村(つくば市)〜番屋敷

新潟県西蒲原郡吉江村(新潟市南区)〜番戸

鳥取県法美郡荒舟村(鳥取市国府町)〜番屋敷

 

岩手県胆沢郡西根村 「番」表記で、明治19年以降新規編成の戸籍は「番戸」

岩手県胆沢郡都鳥村 「番戸」

和歌山県東牟婁郡浦神村 「番戸」

青森県中津軽郡鬼澤村 「番地」

 

沖縄県島尻郡 :番地

 

 

明治31年戸籍との違い

明治19年戸籍の後の明治31年戸籍では全て番地表記になっております。

 

明治19年戸籍の番屋敷は明治31年以降の番地と違います

 

14番屋敷→413番地になっております。

 

明治19年戸籍の番地、番屋敷、番戸、番邸は家一軒一軒にナンバリングをしており、ある起点から順番になっております。

 

それが一番端からなのか中心からなのかは分かりません。

 

また、役場でそれを確認しても対比表がないので分からないことが多いです。

 

以下の表は明治5年屋敷番地図と地番図になります。

以前やり取りした方にご教示していただいたものです。

 

 

この図から読み解えることは

①明治5年当時は同じ集落でも組がありその組の中で割り当てされている

②明治5年当時同じ番屋敷が多くある

③明治31年当時ではきっちり番地で区切らている。

 

この表がどこまで正確なものか、どのようにして表を作成したのか、またどこの村なのかが分かりませんのでなんとも言えませんが、1つの情報になりうるのではと思いアップしました。

 

現在この表を自分の村で作成しようとしてもその村の家一軒一軒の明治19年戸籍を入手して番地、番屋敷、番戸、番邸を確定、そしてその場所の現在の番地を探しだすという難易度の高い作業をする必要が出てきます。

 

なぜ表記が統一されたのか?

なぜ明治19年戸籍ではバラバラであった地番表記が明治31年戸籍では統一されたのか?

おそらく、土地からの徴税を目的として日本全国の土地において1筆1筆所有者を決定して税金を徴収しようとしたのだと考えられます。

 

先祖探しツールとして行政文書では戸籍に次ぐものとして「旧土地台帳」があります。

 

この旧土地台帳には地目やどのくらいの税金を徴収するかを決めています。

 

 

旧土地台帳から得られる情報

 

 

地租が記載されている。

 

この旧土地台帳の一番遡れるのが明治22年頃になっていますので、政府としても早急に日本全国の土地を管理していくなかで明治31年戸籍にて地目が「宅地」の場所を本籍地にしたものだと思われます。

 

まとめ

●明治19年戸籍の地番表記には番地、番屋敷、番戸、番邸がある。

●全国で50%は番地、関西、中四国では番屋敷、全国に10県ほどまばらに番戸、岡山県のある地域のみ番邸で表記。

●明治19年戸籍ではきっちりとして表記が確立されていなかった。

●ただし旧土地台帳(当時は普通の土地台帳)の整備をするなかで番地表記も固まり明治31年戸籍では全国統一されたと思われる。

 

 

公開日2022/05/22

最終更新日2023/02/16

 

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