墓の種類

墓は時代によって大きく変遷します。

 

現在の墓は「●●家の墓」という感じですが、戦前は夫婦で1基のケースが多いです。

 

更にもう少し遡れば個人で1基の墓が一般的だと思われます。

 

墓の形でいつの時代かが判明できます。

蒲鉾形墓石

 

 

これは明治時代から戦前時代の墓ですが、夫婦の墓で右に夫、左に妻の戒名が彫っています。

 

墓側面には俗名や享年等も彫っていることが多いです。

 

明治以降は庶民でも少し大きな墓を建ててもお咎めが無かった為、台座を高くして、一回り大きなお墓になっています。明治以降は個人ではなく、夫婦で1基というケースが比較的多いようです。

 

大きさは台座も含めて1m以上になってきます。

 

 

こちらの墓は1833年に亡くなった方の墓です上が蒲鉾のような形になっています。

 

高さは60cm=2尺が一般的な大きさと考えられます。

 

江戸時代はお墓の大きさの規制もあり、大きなお墓は建立出来ないようでした。

 

この墓の場合は高さ53cm 幅22cmとなっております。

 

思巖壽量信女 政十妻 と側面に記載されておりました。

 

※過去帳のデータで「浪右衛門婆」という記載があり。

 

笠付墓石

 

こちらは1774年と1785年に亡くなった先祖の墓です。

 

上は平たくなっており、その上に笠があります、この当時に笠があるお墓は珍しく財政的に豊かな時に作成した可能性があります。

 

お墓の注意点で、亡くなった当時に建立した場合もありますが、もう少し時代が下って建立されている可能性も念頭に置いとくことも必要になります。

 

高さ55cm 幅25cm 笠部分20cm となっておりました。

 

笠がある分若干大きく見えます。

 

方船型墓石

 

こちらの墓は1689年に亡くなった先祖の墓です。

 

特徴は上部が山型になっている点です、庶民の墓でこの形を見る事は稀ですが、このような知識があれば、墓を見る機会があったときに、古い墓ではないか?という認識で確認できます。

 

こちらの墓も当時に建立された場合と後年に建立された可能性もあります。

 

※数代後の子孫が裕福になり建立したなど。

 

高さ60cm 幅25cm となっております。

 

自然石墓石

 

自然石を利用したお墓になります、1748年没です、大きさは高さ86cm 幅44cmと既存のお墓に比べて一回り大きな印象を受けます。

 

自然石を利用した場合は、墓の大きさの規制も若干緩かったのかもしれません。

 

このような自然石を利用した場合は、年代、この墓のみなのか? 墓所におけるこの墓の位置などを詳細に調べてみましょう。

 

あとから、過去帳や位牌と付き合わせてから何かの情報が得られる場合もあります。

 

この墓の例では、先祖の中で一番古い墓である、1755年に亡くなった方の墓も同様に自然石を使用していたが1800年代以降の先祖では通常の墓であったので、この家では1700年代の墓石は自然石で建立されていることが判明しました。

 

五輪塔墓石

 

 

こちらの墓では五輪塔や宝篋印塔の残欠があります、また、自然石の墓も固められています。

 

年代的には更に古いお墓になると思われます。

 

1600年代前半まで遡る可能性もありますが、専門家の調査が必要になってくるレベルです。

 

宝篋印塔墓石

 

 

同じ墓にこのような古いお墓があったとしたら、自分の先祖の墓ではない可能性もあります。

 

墓の形態からして室町~戦国時代の五輪塔や宝篋印塔ですが、後年別のところにあったものを1つに纏めた可能性もあります。

 

しかし、戒名や俗名などが彫っておりませんので個人を断定出来ません。

 

昔は家柄のいい墓で没落して墓守のいない墓を自分の墓所に持ってきて飾ったということもあったようです。

 

墓には彫ってある情報以外にも大きさや形態、墓の中での位置などで、得られる情報も多くあります。

 

このため、調査をするのに多くの時間がかかりますが、それだけ得るものも多いです。

 

時間は朝一か夕方日が沈む頃がベストです、日中は日差しが強く、墓の彫っている文字が読めない事も多いです。

 

季節は断然雪の積もっていない冬です、夏は草が繁茂し、蛇や蜂、蚊なども多く調査が困難なのと、早く日が沈むのでその時に読める字が多いです。

 

西日が差すとこれくらいはっきりと分かる場合がある。

 

【まとめ】

●墓石にも時代によって色々な形がある。

 

●近代は家の墓であるが、戦前は夫婦墓で、江戸時代などは個人墓になる。

 

●墓の大きさや形から判明することも多い。

 

●彫ってある文字は丁寧に解読する、難しい場合は拓本を取るのも一つの選択肢となる。

 

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お墓の種類【年代別】

 

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